既存サイトへのAIチャットボット増設事例

※実際の費用・期間・仕様は、ご利用人数、既存データの状態、外部システム連携の有無などにより個別に変動します。

ご依頼のきっかけ

不動産賃貸事業を展開するこちらの企業様は、すでに自社の物件検索ホームページを運用されていました。しかし、営業時間外の問い合わせ対応や、「初期費用はいくらかかるか」「内見の予約はどうすればよいか」といったよくある質問への対応にスタッフの時間を取られており、業務負担の軽減が課題となっていました。

そこで、既存のサイトデザインを大きく変更することなく、画面の右下に常に表示される「チャットで質問する」アイコンを設置し、ユーザーがクリックするとチャットウィンドウが開いてAIが自動応答する仕組みを導入したいとご相談をいただきました。

ご提案やお見積もりのポイント

本案件では、既存サイトの改修コストを最小限に抑えるため、1行のJavaScriptタグを埋め込むだけで動作するウィジェット形式のチャットボットをご提案しました。

約3週間での導入を実現するため、複雑なシナリオ分岐や有人チャットへのシームレスな切り替え、顧客データベースとの連携は初期範囲に含めませんでした。その代わり、企業様がすでにお持ちのFAQデータ(Q&Aリスト、規約集、案内資料など)をAIが参照し、自然な対話で一次回答を行う仕組みに特化しています。AIで解決しきれない質問については既存のお問い合わせフォームをご案内する、シンプルで確実な導線としました。

開始時点でFAQの中心となる資料と、テスト環境または設置対象ページへのアクセスをご用意いただき、確認を短いサイクルで進めることを前提に、税別30万円・約3週間で提供できる規模に整理しました。

技術構成の工夫
項目 採用した技術と理由
フロントエンド 既存サイトに影響を与えないよう、独立したウィジェットとしてReactを用いて実装しました。
バックエンド・AI 外部AI APIを活用し、事前に読み込ませたFAQデータに基づいて回答を生成するRAG構成を採用しました。
インフラ サーバーレスアーキテクチャを採用し、アクセス規模に応じて運用コストを抑えながら安定稼働を目指す構成としました。
機密性の高い情報を扱う場合の選択肢

本事例の標準構成では、外部AI APIを利用します。一方で、問い合わせ内容や参照データを外部のAIサービスへ送信しない要件がある場合には、お客様のPC・サーバー上で動作するローカルLLMを活用したプライベートAI構成を別途検討できます。詳細はプライベートAI・ローカルLLM導入をご覧ください。

この構成では、機器のCPU・GPU・メモリ、ネットワーク設定、必要な回答速度を確認したうえで、利用するモデルと構成を選定します。ハードウェアの増強やネットワーク制御、追加の検証が必要になるため、上記の税別30万円・約3週間の標準範囲には含めず、要件に応じて個別にお見積もりします。

納品物と機能の規模感

納品物は、既存サイトへ追加するための「埋め込み用スクリプト」、AIに参照させるデータを更新するための「FAQデータ管理画面」、および「運用マニュアル」の3点です。

実装した機能は以下の通りです。

  • 右下追随アイコンとチャットウィンドウ:ユーザーのスクロールに合わせて画面右下に常駐し、クリックで開閉するインターフェース。
  • AIによる自動応答:ユーザーの自由記述の質問に対し、登録されたFAQデータから適切な情報を参照して自然な文章で回答する機能。
  • チャット履歴閲覧(管理者用):どのような質問が多く寄せられているかを管理者が確認できる、シンプルな閲覧機能。

進行スケジュールと納品までの流れ

本案件は、FAQの中心資料と既存サイトへの設置に必要な情報を開始時にご提供いただくことを前提に、約3週間で進行しました。初期範囲をFAQへの一次対応に絞り、各確認を短いサイクルで行うことで、精度調整と既存サイトへの組み込み確認を両立しています。

フェーズ 時期 実施内容とクライアント様のご対応
Step 1:要件の絞り込み・FAQデータの確認 第1週前半 チャットボットの役割、回答しない範囲、既存フォームへの誘導方針を確認しました。お客様には、FAQ・規約・案内資料のうち優先して参照させる資料をご共有いただきました。
Step 2:チャットボットUI設計・プロトタイプ作成 第1週後半 右下アイコンとチャットウィンドウの表示内容を設計し、ブラウザ上で動作するプロトタイプをご確認いただきました。
Step 3:AI回答設定・精度調整 第2週 整理したデータをAIが参照できる形に整え、代表的な質問に対する回答を確認しながら調整しました。
Step 4:既存サイトへのテスト組み込み・動作確認 第3週前半 テスト環境または限定公開ページにスクリプトを埋め込み、既存サイト上での表示、回答、問い合わせフォームへの導線を検証しました。
Step 5:納品・本番稼働・お支払い 第3週後半 本番環境のサイトへスクリプトを設置し、マニュアルをお渡しして納品完了としました。検収後に全額をご請求しました。
お支払い条件について

原則として、着手金などはいただいておりません。ご契約時の前払いはなく、すべての開発作業が完了し、クライアント様による検収が完了した後に全額をご請求しました。

プロジェクトの費用内訳

以下の金額には、初期範囲の要件整理、チャットボットUIの実装、外部AI APIとの連携、既存サイトへの組み込みテストまでが含まれています。高度な有人対応システム、複雑なシナリオ分岐、顧客データベースとの連携、プライベートAI・ローカルLLM環境の構築は含まれていません。

項目 税別費用 範囲
要件定義・進行管理 ¥30,000 FAQデータの確認、回答範囲・UI仕様の策定
フロントエンド開発 ¥65,000 追随アイコンおよびチャットウィンドウUIの実装
バックエンド・AI連携 ¥135,000 FAQデータの登録処理、AI回答生成ロジックの構築
組み込み・テスト ¥45,000 既存サイトへの組み込みサポート、動作テスト
導入サポート ¥25,000 FAQデータ更新を含む運用マニュアルの作成
合計 ¥300,000 税込 ¥330,000
ご利用開始後の月額費用の目安

本システムは、外部のAIモデルを利用して回答を生成するため、初期開発費とは別に、本番稼働後に以下の月額費用が必要となります。

項目 月額費用の目安 備考
第三者クラウドサービス・AI利用料(実費) 数千円〜¥10,000程度 クラウドインフラおよびAI(OpenAI API等)の利用料です。アクセス数や会話数に応じた従量課金となります。
最低限の保守・運用サポート ¥10,000〜¥20,000 システムの稼働確認や、軽微なFAQデータの更新サポートを含みます。大幅な機能追加は別途お見積もりとなります。

※ 月額費用の合計は、税別月額1.5万〜3万円程度を想定しています。
※ 第三者サービスの利用料は、利用状況や為替レートによって変動する場合があります。

第三者クラウドサービスの費用は、一般的なサーバーレス基盤およびAIモデルの公開料金体系を参考にしたモデルケースです。

担当者コメント

約3週間という短期間で導入できた理由は、既存サイトを大きく改修せず、FAQへの一次対応に役割を限定したことにあります。「どんな質問にも完璧に答えられるAI」や、有人対応との複雑な連携までを最初から目指すと、シナリオ設計、データ整備、検証の工数が大きくなります。

今回のケースでは、既存のFAQデータを参照し、右下のウィジェットで回答し、解決しない内容は既存フォームへ案内する構成に徹しました。その結果、初期費用を税別30万円に抑えながら、営業時間外を含む問い合わせの一次対応を自動化できました。

また、標準構成では外部AI APIを利用しますが、社内規程や機密性の高い問い合わせ内容のために外部AIサービスの利用を避けたい場合には、プライベートAI・ローカルLLM導入として、お客様が管理するPC・サーバー内でAIを稼働させる構成も検討可能です。性能やネットワーク要件を確認したうえでの個別設計となりますが、将来的な選択肢としてご相談いただけます。

よくある追加開発の目安

運用が定着し、「有人スタッフが直接チャットを引き継げるようにしたい」というご要望が出た場合は、有人チャット切り替え機能およびオペレーター用管理画面の追加開発が考えられます。この場合、リアルタイム通信基盤の構築やオペレーターのステータス管理機能が必要となるため、税別50万〜80万円、約1.5〜2か月程度の追加開発となるケースが一般的です。

まずはAIによるFAQへの一次対応から開始し、利用状況と効果を見ながら、有人対応やより高度なAI構成へ段階的に拡張していくことで、初期投資のリスクを抑えながら自社に合った問い合わせ対応体制を作ることができます。