水まわり設備事業の業務管理システム開発例
※実際の費用・期間・仕様は、ご利用人数、既存データの状態、外部システム連携の有無などにより個別に変動します。
今回のケースは、地域密着で水まわり設備業を営む企業様が、受付から現場対応までの情報共有を見直したことが出発点でした。受付を兼務する事務スタッフが電話で修理依頼を受け、顧客名、住所、電話番号、訪問希望時間、故障内容を紙の出動伝票へ記入していました。代表または配車担当者が、事務所のホワイトボードにスタッフ名と当日の訪問先を書き込み、空いているスタッフへ電話やメッセージで割り当てを伝える運用です。顧客情報はExcelの台帳に残していましたが、日々の出動予定、作業写真、完了報告とは連携していませんでした。
現場作業が終わると、スタッフは伝票に作業内容、使用部品、概算金額を手書きし、作業前後の写真は各自のスマートフォンに保存していました。繁忙期に1日7〜10件ほどの訪問が重なると、本部では「すでに到着したのか」「部品の手配が必要なのか」「次の訪問先を変更できるのか」を電話で確認する必要がありました。また、同じ顧客から再度連絡があった際も、Excel台帳、過去の伝票、スタッフの写真フォルダを別々に探すため、電話口ですぐに修理履歴を確認できないことが課題になっていました。
ご提案やお見積もりのポイント
本件では、見積作成・請求書発行・会計連携までを一度に置き換えるのではなく、受付から訪問、作業完了報告までの流れをデジタル化することに範囲を絞りました。少人数の会社でも日常的に回せる操作量を前提に、現場では「訪問先を見る」「到着・完了を押す」「写真を登録」の3操作を中心にしています。初期版で情報共有を定着させ、実際の利用状況を見ながら請求・顧客向けマイページなどを第2フェーズで検討する方針です。
約6週間での導入を実現するため、開始時に紙の出動伝票、受付時の確認項目、スタッフ一覧とロール、サンプル案件・作業写真、受入条件をご共有いただく前提としました。初期範囲は「管理者」「受付・配車担当者」「現場スタッフ」の3ロール、固定したステータス遷移、標準的な写真登録、案件・顧客履歴の検索に限定しています。請求書発行、在庫管理、決済、会計ソフト連携、顧客向けマイページ、既存Excelからの大規模なデータ移行は含めていません。
本部は、電話で受けた依頼を案件として登録し、担当スタッフと訪問予定を設定します。現場スタッフはスマートフォンで自分の当日・翌日の訪問予定を確認し、現場到着時にステータスを「移動中」「作業中」へ更新します。作業後には、作業前後の写真、実施内容、使用部品、次回対応の要否を入力し、「完了」として本部へ報告します。入力項目と代表的な画面を第1週に確定し、確認を短いサイクルで進めることで、税別126万円・約6週間で提供できる規模に整理しました。
技術構成の工夫
| 項目 | 採用した技術と理由 |
|---|---|
| フロントエンド | TypeScriptとReact系フレームワークを採用し、PCとスマートフォンの両方で操作できるレスポンシブWebアプリとして実装しました。現場用画面では、大きなステータスボタンとカメラ起動ボタンを中心にしています。 |
| バックエンド・API | 顧客、案件、作業報告、添付写真を扱うREST APIを実装し、ステータス遷移と担当者権限をサーバー側で検証します。 |
| データベース・写真保管 | 顧客・案件・担当者・作業報告・操作履歴を関連付けるPostgreSQL互換DBと、アクセス制御を設定したオブジェクトストレージを採用しました。 |
| 認証・権限管理 | 「管理者」「受付・配車担当者」「現場スタッフ」の3ロールとし、担当者は自分に割り当てられた案件のみを更新できます。 |
| 品質管理 | 代表的な出動伝票と作業写真を用いて、主要な受付・配車・完了報告の流れを優先して受入確認し、固定した初期範囲内で微調整しました。 |
機密性の高い業務データをAIで扱う場合の選択肢
本事例の標準構成では、案件メモや作業写真をAIで解析する機能は含めていません。一方で、個人情報を含む案件メモ、写真の説明、過去の作業履歴を外部AIサービスへ送信せず、社内検索、完了報告の要約、次回対応の下書きを支援したい場合には、お客様のPC・サーバー上で動作するローカルLLMを活用したプライベートAI構成を別途検討できます。詳細はプライベートAI・ローカルLLM導入をご覧ください。
この構成では、対象データ、権限設計、必要な回答速度、機器のCPU・GPU・メモリ、ネットワーク設定を確認したうえで、利用するモデルと構成を選定します。写真の取り扱い、機器の増強、ネットワーク制御、追加検証が必要になるため、上記の税別126万円・約6週間の標準範囲には含めず、要件に応じて個別にお見積もりします。
納品物と機能の規模感
初期版では、修理依頼を受けてから作業完了を本部へ報告するまでに必要な機能へ絞りました。作業料金の確定、請求書の発行、在庫管理、顧客へのメール配信は初期範囲に含めず、既存の会計ソフトや業務フローをそのまま利用する前提です。
納品物は、Webアプリ一式、管理者向け運用マニュアル、データベース設計書、テスト結果一覧です。
業務フローと画面イメージ
| 利用者 | 主な操作 | 実務上の利用イメージ |
|---|---|---|
| 受付・配車担当者 | 案件登録、担当スタッフの割り当て、訪問希望日時の設定、対応状況の一覧確認 | 電話を受けながら、顧客情報、住所、依頼内容、希望時間を入力し、空いているスタッフへ案件を割り当てます。 |
| 現場スタッフ | 当日の訪問予定確認、ステータス更新、作業写真・作業メモの登録 | 到着前に「移動中」、作業開始時に「作業中」、完了後に写真とメモを添えて「完了」へ更新します。 |
| 管理者 | 案件全体の検索、顧客ごとの修理履歴確認、対応件数の集計、CSV出力 | 顧客から再度電話があった際、住所や電話番号から過去の修理内容・写真・担当者を確認します。 |
扱う主なデータ
| 区分 | 主な項目 |
|---|---|
| 顧客情報 | 顧客名、住所、電話番号、建物種別、連絡時の注意事項 |
| 案件情報 | 受付日時、訪問希望日時、依頼内容、担当スタッフ、対応ステータス、次回対応予定 |
| 作業報告 | 作業開始・完了日時、作業内容、使用部品、概算金額、作業前後の写真、申し送り事項 |
| 操作履歴 | 登録者、更新者、更新日時、ステータス変更の履歴 |
進行スケジュールと納品までの流れ
本案件は、紙の出動伝票、受付時の確認項目、スタッフ一覧、代表的な案件・作業写真を開始時にご提供いただくことを前提に、約6週間で進行しました。第1週で業務整理と主要画面の確認を並行して完了し、後工程での手戻りを抑えることで、初期版の実装から受入確認、本番公開までを短縮しています。
| フェーズ | 期間 | 当社の作業・お客様にお願いしたこと |
|---|---|---|
| Step 1:業務整理・主要画面の確認 | 第1週 | 既存の出動伝票、受付時の確認事項、現場スタッフの完了報告例を確認しました。お客様には、受付担当者1名・現場スタッフ1〜2名からの確認、スタッフ一覧、サンプル案件・写真のご共有をお願いしました。案件一覧、案件詳細、完了報告の主要画面と、ステータス・必須項目をこの週に確定しました。 |
| Step 2:基盤・案件管理・写真登録の実装 | 第2〜3週 | 認証・権限、顧客・案件管理、担当割り当て、ステータス更新、写真アップロードを実装しました。代表的な案件を用いて、受付から現場報告までの基本フローを確認しました。 |
| Step 3:検索・CSV出力・内部テスト | 第4週 | 顧客・案件の検索、修理履歴の参照、CSV出力を実装し、主要な権限とステータス遷移をテストしました。 |
| Step 4:テスト環境での受入確認・調整 | 第5週 | 実際の出動伝票をもとにしたテストデータで、受付担当者と現場スタッフに操作いただきました。項目名、ボタン配置、完了報告の流れを固定した初期範囲内で調整しました。 |
| Step 5:納品・本番公開・お支払い | 第6週 | 本番環境へ公開し、運用マニュアル、データベース設計書、テスト結果一覧をお渡しして納品完了としました。検収後に全額をご請求しました。 |
お支払いについて
原則、着手金はいただいておりません。ご契約時のお支払いは不要で、すべての開発とお客様による検収が完了した後に、全額をご請求しました。
プロジェクトの費用内訳
今回の金額には、初期フェーズで定義した受付・配車・現場完了報告・履歴検索の実装、テスト、本番公開支援までを含みます。請求書発行、在庫管理、決済、会計ソフト連携、顧客向けマイページ、大規模な既存データ移行、プライベートAI・ローカルLLM環境の構築は初期範囲に含みません。
| 項目 | 費用(税別) | 内容 |
|---|---|---|
| 要件整理・ディレクション費 | 180,000円 | 出動伝票・受付フローの整理、主要画面・業務ルール・受入条件の設定、進行管理 |
| UI/UX画面設計・デザイン費 | 180,000円 | 本部向け管理画面と現場向けスマートフォン画面のワイヤーフレーム、操作性レビュー |
| フロントエンド開発費 | 300,000円 | 案件一覧・詳細・完了報告画面、ステータス表示、レスポンシブ対応 |
| バックエンド・API開発費 | 400,000円 | データベース設計、認証・権限、案件・作業報告・写真の管理、検索・CSV出力 |
| テスト・導入支援費 | 200,000円 | テスト計画、テストデータ作成、受入確認、本番公開、運用マニュアル・設計書・テスト結果一覧の作成 |
| 合計 | 1,260,000円 | 税込:1,386,000円 |
補足:ご利用開始後に発生する第三者サービス利用料・保守費用の目安
以下は、従業員約12名・日常利用者十数名、月間数百件程度の案件と作業写真を扱う初期運用を想定した補足です。本案件の初期開発費とは別に、Webアプリを本番で運用するためのクラウドサービスや、必要に応じて利用する監視・通知サービスには、各サービス提供事業者へ支払う第三者サービス利用料(実費)が発生します。
| 区分 | 税別月額の目安 | 費用の性質と含まれる主な内容 |
|---|---|---|
| 第三者クラウドサービス利用料(実費) | 8,000〜15,000円 | Webアプリのホスティング、マネージドデータベース、作業写真の保管、定期バックアップ、ドメイン・SSLの維持。原則として、クラウドサービス提供事業者へ支払う利用実費です。 |
| 最低限の保守・運用サポート | 10,000〜20,000円 | 月1回の稼働・バックアップ・簡易ログ確認、脆弱性情報の確認、緊急時の一次連絡、月30分程度の設定・操作相談を想定。障害復旧作業、仕様変更、機能追加は個別にお見積もりします。 |
| 任意の外部サービス利用料(実費) | 0〜5,000円 | エラー監視、ログ・アラート、メール通知などを利用する場合の費用。SMS送信やオンライン決済は利用分に応じた従量料金が別途発生します。 |
| 月額合計の目安 | 18,000〜40,000円 | 上記を合算した、費用をできるだけ抑える場合の想定です。写真保管量、利用者数、アクセス、追加サービスによって変動します。 |
※第三者クラウドサービス利用料の目安は、マネージドデータベース・認証・ファイル保管、Webホスティング、オブジェクトストレージの公式料金体系を参考にしたモデルケースです。
担当者コメント
今回の水まわり設備事業者のように、電話受付、現場訪問、写真を使った完了報告が日常的に発生する小規模事業者では、まず「本部と現場で案件の状態が共有できること」に絞って導入するのが有効です。初期版では、既存の会計ソフトや請求業務を急に置き換えず、紙の出動伝票、ホワイトボード、Excel台帳に分散していた「出動予定と完了報告」の部分だけをWebアプリへ移すことで、現場に無理なく定着させます。
約6週間という短期間で進められたのは、既存の伝票・項目・ロールを開始時に共有いただき、初期版で必要な画面とステータスを固定したためです。その結果、初期費用を税別126万円に抑えながら、電話確認に頼っていた状況把握や、顧客ごとに分散していた修理履歴の確認を、1つの画面で行える状態にできました。
将来的に、過去の作業履歴や案件メモをもとに次回対応の下書きや社内検索をAIで支援したい場合には、クラウドAIとの連携だけでなく、業務データを外部へ送信しないプライベートAI・ローカルLLM導入も選択肢になります。データの性質、写真の扱い、機器性能、ネットワーク要件に応じた別途設計が必要ですが、段階的な拡張としてご相談いただけます。
追加パターンの目安
初期版の利用が定着した後、顧客自身がログインし、訪問予定、作業履歴、写真、見積書を確認できる顧客向けマイページを追加する場合は、既存の顧客・案件データを再利用できるため、追加で税別60万〜90万円、約4〜6週間が目安です。
また、外部決済サービスを利用し、クレジットカード情報を自社システムに保存しない方式で、訪問修理後の支払いリンクを発行するオンライン決済連携を追加する場合は、税別50万〜70万円、約3〜5週間が目安です。
マイページとオンライン決済を第2フェーズでまとめて追加する場合は、追加で税別100万〜160万円、約7〜9週間を想定しています。初期版と合算すると、総額は税別226万〜286万円が目安です。ただし、分割請求、複数物件の一括管理、部品在庫の連携、メーカー保証の照会、会計・基幹システムとの双方向連携まで必要になる場合は、別途設計・お見積もりが必要となる可能性が高いです。
まずは日々の出動伝票と完了報告を確実にデジタル化し、実際の運用で必要になった範囲から段階的に拡張することで、不要な機能への投資を抑えながら、自社の業務に合ったプロダクトへ育てていくことができます。

ご依頼のきっかけ